“動かない”を“動く”へ整える【可動域専門】
整体師ムラタ 星加さゆりです。

前回からの続きです。

退院したものの、体重は15キロから10キロほどへ激減し、寝返りもがくようにするのがやっとの様子。ステロイドを限界まで増やした副作用の多飲多尿になり水を飲む回数とトイレの回数が非常に増えました。薬の量が多い時は、トイレシートからあふれんばかりの尿を2時間おきくらいに、満足に立てないカラダを私に支えられながらするのです。その為、長い施術の際は、おむつをして寝ていてもらいました。

そして、専門医も見たことが無い、腎臓の腫れと鼠径と膝裏の穴から流れる膿。連れ帰りすぐに穴の確認をして、びっくりしました。
ニキビをつぶして出来る”穴”や水ぶくれ後のような”穴”ではなく、カラダの奥へと繋がる暗い”孔”だったのです。鼠径の方が500円玉の入り口から、人差し指の第二関節まですっぽり収まっても、尚続く孔が出来ていました。皮膚が膝裏の方は1円玉で私の人差し指の第一関節までは、ゆうに入りました。


※かなり回復し、右膝裏の孔がふさがりそうで、でも、中心からまだ膿が出ていた頃の写真。この4,5倍の孔が鼠径にはありました。

支えなくては立つこともできず、抱き上げたカラダには力はなく、強く抱いたら骨が折れるんじゃないかと思うほどに軽くなったカラダを支える毎日でした。経過の見通しも立たず、一日のほとんどを寝て過ごす間にも呼吸のあまりの細さに加え、時に胸を喘がせるような乱れもあり、今にも息が止まるのではないかと心配ばかりしていました。

鼠径と膝裏にできた孔の消毒や排膿のため、日に何度か仰向けにさせると、おなかがよく見えました。
元気な頃、ピンクの子豚のようなおなかが膨らんでしぼむお昼寝姿が可愛かったのに、その時に見えるおなかは、力なくだらんとしているのに、痩せたカラダに対しやけに大きく、ぽってりとし、くすんでいるのです。
そして、鼠径へおなかと太腿をそっと撫でると、孔からは空気と一緒にポコポコと膿があふれ出るのです。肛門ですら、きゅと締まり奥まらず、力ない様子になるのです。回復するまで便の状態は良くなく、回復に合わせ良い便へと戻っていきました。

※肋骨から離れるように、おなかが重力のままダラッと、ぼってり飛び出ている様子。


※元気な頃はおなかもハリがあり、あるべき位置に収まり重力には負けません。

アリアはもともと、家族と一緒にいられれば他はどうでもいいタイプで、カラダを預けるのに抵抗が無い犬でしたが、体力も落ち切り、消毒していると仰向けのまま眠ってしまうのを良いことに『ちょっとだけみせて』と、声を掛け、包帯代わりのストッキングと生理用品を交換し消毒をすることが出来ました。その後、力なく、でも、右の腎臓と肝臓周りから脊椎にかけた変に硬いおなかの施術をするのでした。

きっと、子宮と腎臓が癒着したのだと思われる箇所に差し掛かると(このかたい場所については通院時、獣医師がエコーと照らし合わせて下さり、本当に助かりました。)明らかに組織が一つの塊となり、動かずかたい場所に行き当たります。

アリアも、この時ばかりは、息を詰め触れてほしくなさそうに薄目でコチラを見るのです。
そっと指先を当てて、背中側からも手の平を当てておくと、しばらくして呼吸がぐっと深くなり、塊とその周りの柔らかな組織との境が曖昧になじみ、塊の表層がその中心部より明らかに温度や柔らかさを取り戻すのです。

その手応えの後、アリアは本当にゆっくりとそれぞれの四肢を伸ばし、脊椎を身を捩るように軽く沿って、緩んだ部分をいい位置に自分で納めてまた眠っていくのです。そして、今度は呼吸が深く落ち着いて眠っていくのです。

その後のアリアと、続くおなかの施術はまた明日書いていきます。

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